筋萎縮性側索硬化症[amyotrophic lateral sclerosis]

〔筋萎縮性側索硬化症 [amyotrophic lateral sclerosis]について〕
筋萎縮性側索硬化症は神経難病の代表とも言える病気です。よく聞くALSとは英語の病名の頭文字をとったものです。以下ALSとします。稀な病気で、2万人に一人程度の患者さんがいます。全国では約9000人の患者さんが登録(平成23年)されており、徳島では約90人います。患者さんは男性にやや多く(男女比は約3:2)、60歳代を中心に中年期以降のいずれの年代にも発症します。若い方に発症することもありますが、まれです。特定の職業や人種でかかりやすいということはなく、生活習慣も発病に関係がありません。ALSでは筋肉がやせていきますが、病気に冒されているのは脳から筋肉に動きを伝える運動神経で、脳からの命令が伝わらないために筋肉がやせていきます。

病気で冒される部位により様々な症状が出現します。大きく分けると(1)手足の筋力が低下したことによる運動機能障害、(2)食事を食べにくくなる嚥下障害、(3)息をしにくくなる呼吸障害、(4)コミュニケーションの障害があげられます。感覚を伝える神経や知能、自律神経には異常がでにくいといわれています。また肝臓や腎臓などの内臓の機能にも異常はありません。多くの人は字を書きにくいなどの手の症状から始まりますが、歩きにくいなどの足の症状、しゃべりにくい・飲み込みにくいといった症状で発症する人もあります。症状の出方や進行のスピードは人によって様々ですが、常に進行性で、軽快することはなく、数年で全身の筋肉(眼球運動を除く)が動かせなくなります。自分で息ができなくなったとき人工呼吸器をつけるかどうか、厳しい選択が必要になります。実際につける人は3割程度と言われます。

また嚥下障害が進行すると、胃ろうと呼ばれるチューブを使って栄養をとるためにおなかに穴を開けることもあります。人工呼吸器をつけての在宅療養は介護負担が大きく、どうやって軽減させるかが大きな問題です。リハビリテーションや訪問看護・訪問介護を早期から計画的に利用することが重要です。

病気の原因は不明ですが、神経の異常な老化が関係すると言われています。治療では,進行を遅らせるリルゾールが用いられるほか、体の色々な症状をとる治療が中心となります。最近ではiPS細胞を用いた再生医療に期待が高まっています。

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